2nd
Manigance / D'un Autre Sang
一億パワーのスゲェヤツら!

Track List :

1. Mirage
2. Empire Viruel
3. Mourir en heros
4. Heritier
5. Hors la Loi
6. Maudits
7. Memoire
8. Damocles
9. La mort dans l'ame
10. D'un Autre Sang
11. Enfin Delivre
12. Future World (Pretty Maids - Japan Bonus)

評価 … ★★★★★★★★☆☆(岩盤(Great))

フランス出身のプログレッシブ・パワーメタルバンドの2004年リリース2ndアルバム。1997年にリリースした1stミニ「Signe De Vie」は、Rush的構成美とAngra的ネオクラシカル・パワーメタルを繊細なメロディを軸に融合させ、さらに母国語であったことが輸入盤マニアのツボを刺激し非常に狭い層にではあるが話題となった。その後フルアルバムを切望されながらも音沙汰はパタッと消え月日は経過。が、完全に存在を忘れ去られた頃合の2002年に「Ange Ou Demon」でシーンに突如復帰するやいなや、ミニに封入されていたメロディカル・ルネッサンスとでもいうべき叙情性を格段にパワーアップさせた内容が受け、フランス語というハンデをものともせずベストセラーを記録。この成功により同年Marqueeから日本盤のリリース、2003年には幻の作品となっていた「Signe De Vie」のジャケットを変更し更にボーナストラックを収録して再発される等、止まっていた分加速度的に彼らの時間は動き出すこととなる。

そして前作の成功による勢いを維持したまま、約1年半という短いタームでのリリースとなった今作は、方向性はそのままによりメタルとしてのエッジを上乗せした印象の高品質ヘヴィメタル作品となっている。不安要素の一切ない演奏陣と硬質なプロダクションが織り成す整合感に裏付けされた曲群の、前作に比べシンプルながらほんわかと心に響いてくるメロディは非常に心地良い。曲が濃密なためまとめて聴くと集中力が切れる難点は持つものの、随所にちりばめられた緊張感溢れるソロワークや、「こう来るか」と思わず呟きそうになる気の効いた曲展開には秀逸の一言。

演奏面では、エッジの良く立った鋭い切れ味を持つギターと、基本的に空間を埋める役割ながら#4のAメロのように表に出る時に嫌味にならない自己主張をするKeyの、”メロディ楽器かくあるべし”といった充実感溢れる演出が実に心憎い。メロディアスハード的なストレートなリフを多く持つこのバンドにおいて、リフをKeyが飾り立てるのは常套手段でありながらも、プログレッシブ・パワーメタル然としたその後の内容との掛け合いでインパクトが増し、”曲の一区切り”というリフの役割が最大限に引き出されている様に曲作りの巧みさが良く現れている。

フランスヘヴィメタル界のエースといっても差し支えはないであろう作品を作り上げたことで期待されるのはやはり来日公演だ。そこそこ売れているとはいえ、英詩以外のヘヴィメタルバンドがいざ来日した時に、購買層の内のどれだけの人間が足を運ぶのかを図るのは難しい面もあるが、フェスティバル形式での来日でも良いので是非ともそのステージを目撃したいものである。
~どみね。~

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Best tune : Heritier

レビュー本文でも触れたAメロでのKeyの演出、疾走感と叙情性に溢れたサビ、間奏パートの緊張感溢れる展開美の各要素要素が、スープ上になるまで溶け合って構成された非の打ち所がない名曲に仕上がっている。ザッツ ア カレーライスメタル。
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