8th
Dir en grey / DUM SPIRO SPERO
緑!

Track List :

01 狂骨の鳴り
02 THE BLOSSOMING BEELZEBUB
03 DIFFERENT SENSE
04 AMON
05 「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨
06 獣慾
07 滴る朦朧
08 LOTUS
09 DIABOLOS
10 暁
11 DECAYED CROW
12 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
13 VANITAS
14 流転の塔

Disc 2

01 羅刹国
02 AMON (Symphonic Ver.)
03 流転の塔 (Unplugged Ver.)
04 DIABOLOS (Demo2010, Short Ver.)
05 暁 (Demo2010)
06 THE BLOSSOMING BEELZEBUB (Remix)
07 「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨 (Remix)
08 滴る朦朧 (Remix)
09 暁 (Remix)
10 DECAYED CROW (Remix)

評価 … ★★☆☆☆☆☆☆☆☆(茶盤)

2011年にリリースされた、前作UROBOROSから3年弱ぶりとなる8thアルバムです。収録されているシングル曲は、激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇、LOTUS、DIFFERENT SENSEです。全14曲、67分と前作同様大作となりました。アルバムタイトルの意味は、ラテン語で『行きている限り希望がある』みかいな感じです。

アルバムはkeyが鳴らされた後にノイズ混じりとなる狂骨の鳴りで始まります。裏で流れているシンセメロディが新鮮です。シンフォニック路線ですか?というね。アルバムの始まりなSE曲ですが、ヴォーカルのようなものもありかっこいいです。

次いでTHE BLOSSOMING BEELZEBUBですが、ヘヴィなサウンドにうっすらとぽろんぽろんとしたシンセサウンドが流れていてプリミティブ風なサウンドを彷彿とさせるのですが、京のヴォーカルパートとこのシンセ音とバンドサウンドが実にミスマッチです。これは純粋にバンドサウンドだけにした方が良かったのでは。中盤から基本的に歌っていますがまったりテンポで7分半ながらも歌メロは綺麗です。

25thシングル曲のDIFFERENT SENSEはアルバムバージョンになっています。最近の京らしいグロウル、ホイッスルと多用しサウンドも攻撃的な楽曲です。珍しくギターソロが入っていたり、キャッチーなサビの歌メロも聴き所でしょうか。アコースティックギターのサウンドもふんだんに取り入れられました。シングルバージョンとの違いはよくわかりません。

AMONはベースラインが強調された楽曲で、ブックレットと共に先行発売されていました。楽曲のスタイルとしては今のDIRということで、やはりアグレッシブなサウンドで押して歌い上げるパートとシャウトパートを分けた歌唱がはっきりしています。このあたりは前作の凱歌に通じるところをこの曲では感じました。でもやっぱりベースメインの曲です。

5曲目、「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨はギターは尖っていますが、ヴォーカルラインはメロディ主体になっていてミドルテンポ、中盤と終盤では走って叫ぶパートがあるものの丁寧に歌っている印象です。

続く獣慾は本作でも群を抜くパワフルな楽曲で、1曲目を除くと3分半弱と最短曲なのですが爆走ドラム、太いベースライン、ツインギターの絡み、薄っぺらく尖らせたギターサウンドといろいろ詰め込まれています。

滴る朦朧はヴォーカル含めたバンドサウンドの一体感を強く感じます。後半とかやってることはバラバラですが。ミディアムテンポでホイッスルしたりギターはぽろぽろさせたり。特に盛り上がりはなく終わってしまう。

24thシングルのLOTUSはもともと印象の薄い曲でしたが、アルバム用にリミックスされています。重ねまくったサビの歌唱は健在です。2番Aメロ?あたりのサウンドはけっこう好きですね。このあたりはアルバム中でもミディアムテンポ曲が続きます。LOTUSはサビが特徴的なので気に入る人は好きなのでは。

次がおそらくこのアルバムの中核である約10分のDIABOLOSです。ノイジーで低音を強調した曲調はアルバムの流れ通り。流麗な歌メロもまた然り。ギターソロを挟んでDIRらしく突っ走ります。このあたりの曲構成と歌唱はある程度の安心感がありますね。盛り上がりはなんかいまいちなんですけどね。アコースティックギター&語りのパートが後半で登場しています。そこからの激走と綺麗に歌い上げて終わるという構成は見事な予定調和で聴いていて気持ちいいです。

10曲目、暁。Toshiya原曲らしくベースラインはちょっと印象的かな。歌メロはよくわからないけど、今日が好き放題やっている感じ。この曲に限ったことでもないか。なぜこれをDIABOLOSの後に持ってきたのかが謎です。終始盛り上がりません。

続くDECAYED CROWの方がまだ盛り上がると言っていいでしょう。というか勢いを詰め込んでぎゃあぎゃあ叫んでいる曲ですね。はっきり言ってそれだけなんですけど、ライブではちゃんと盛り上がるのかな?といった感想。早い曲なのでほんとに勢いは感じますがそれだけ。

23rdシングルの激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇です。こちらは録り直しています。シングル曲の中でも盛り上がりのある熱い曲でしたが、アルバムに合わせたサウンドになったかなと感じます。この曲はやっぱかっこいいですね。UROBOROS後では一番好きな曲だし、ファンも多いのでは。新録バージョンも良いと思いますよ。

VANITASはどこかで聴いたことのあるような雰囲気を醸し出した壮大なバラードナンバーです。ギターサウンドからの盛り上がりからギターソロへの展開は超王道的。でも今までのDIR EN GREYでこういうのって無かったと思うのでそういう点では新しいものを感じます。寂しげな曲調と優しい歌唱が際立っており、アルバム終盤に納められている楽曲としても出色の出来と言っていいと思います。奇を衒っているわけでもなく、純粋に良曲でしょう。比較するならば前作の我、闇とて…でしょうが、こちらのほうがある意味シンプルかなと。

ラストは流転の塔です。この曲も正直謎です。VANITASと逆にすればずいぶんとアルバムの印象も変わったのではないかと思うのですが。アップテンポ曲な面もあり、でも歌ものなイメージも薄く、アルバムの最後を盛り上げる感も無くこれを最後に持ってきた意図が計りかねます。曲としても何がやりたいのかよくわからなくて中途半端です。


ここからは初回盤に付属している2枚目。

1曲目は羅刹国ですが、ライブバージョンを意識しているのかオリジナルのMACABREに入っているバージョンと比べると歌唱がグロウルになっています。MACABREはDIRのアルバムの中では一番好きなのですが、このリメイクは正直不要ですね。オリジナルがいいだけに。そもそも、最近の過去曲のリメイクはほぼ蛇足だと思ってますが。これは普通に歌った方が絶対かっこいいです。

AMON (Symphonic Ver.)
その名の通りシンフォニックになっています。ハープみたいなサウンドで始まり、ストリングが多い被さります。海外のシンフォニックバンドを意識してみた感じのアレンジなのでしょうかね。そういうの好きだったら面白いと思いますよ。終始シンフォニックサウンドでベースやギターもごりごり鳴らしていますので。

流転の塔 (Unplugged Ver.)
毎度やっているパターンですね。ピアノとヴォーカルによるアレンジになっていて歌はよく聴くことができます。ちゃんと後半ではグロウルシャウトもしています。このリミックスはけっこう好きです。本編がこっちでも良かったのではないかと思います。いやむしろその方が。

DIABOLOS (Demo2010, Short Ver.)
長い曲の5分バージョンです。Demoということもあり曲の出だしのサウンドなんかも異なっています。純粋にボーナストラックとして聴けばいいのではないかと思います。本編のDIABOLOS自体はよく完成された曲なのでほんとにおまけですかね。

暁 (Demo2010)
こちらもDemo音源です。いきなりヴォーカルから入ってますね。これもおまけでしょう。違いを比べてみてくださいってところですね。

THE BLOSSOMING BEELZEBUB (Remix)
薫がリミックスした曲です。京の声がディジタル加工されています。あとはいろいろ遊んでみたっていう感じ。二回聴こうとは思わない。

「欲巣にDREAMBOX」あるいは成熟の理念と冷たい雨 (Remix)
Toshiyaによるリミックス。終始反復メロディをやってみました的な。曲としてどうかはともかく面白いとは思います。

滴る朦朧 (Remix)
Shinyaリミックス。こちらもディジタル加工楽曲です。こういう音が好きなのでしょうかね。敢えてバンドサウンドを無くしてしまっています。

暁 (Remix)
Dieのリミックス。ヴォーカルを多めにフィーチュアして重ねてみましたという雰囲気になっています。サウンドはほんとに薄っぺら。

DECAYED CROW (Remix)
最後は京によるリミックスです。SEみたいになってます。リミックス曲としては一番面白いですね。笛みたいな音を使っていたり、そこにシャウトやグロウルヴォーカルを被せてみたりしていて。ドラムがどこどこいってますがまったり音源です。


いろいろ書きましたが、アルバムとしてはUROBOROSが良かった分、そして激闇がよかったぶん3年近く待って期待外れ感が非常に強い作品となってしまいました。アルバムとしての一体感も薄く、曲もいまいちぱっとしないものが多いです。いろいろと新しいことはやっていますが、うまく昇華できていない感じ。ライブにまた行ってみようと思っていたけれど、これを聴かされるなら行かなくていいやと思ってしまいました。

聴いていて早く終わらないかなあ、と思わせてしまってはアルバムとしては失敗でしょう。上の方でも書いていますが、構成の悪さも感じたのですけれどね。今までのアルバムにあったように、一聴してアルバムの全体像が見えてこないところがなんとも言いがたいです。

おまけディスクの方はほんとにおまけなので評価対象外です。

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Best tune : VANITAS

王道な感じで安心して聴ける曲です。アルバムのメインにはならないでしょうけど、こういう曲は好きです。
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