Cydonia / The Dark Flower
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Track List :
1. Midnight Man 2. Voices 3. One Last Crime 4. Dark Flower 5. Invisible 6. Another One 7. Beyond Time 8. Master Shadow 9. Diamond Dust 10. Losing My Faith
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評価 … ★★★★★★☆☆☆☆(良盤) 僕の愛していたCydoniaが変わってしまった・・・
な~んて今時どこの三文恋愛小説でもいわねぇような台詞をこねくり回して書き出してみたわけなんだけど、確かにこの変化にはびっくりさせられたね。前作はRhapsodyと共に昔イタリアンメタルの双璧をなしていたLabyrinthのドラム神Mat Stancioiu様がおられたりしたのもあってか、限りなく2ndの時のLabyrinthっぽさってものがあったんだけれども、今作は端的に言ってしまえばなんだかいろいろ混ざったものになりましたよ。一般的に我々が抱いているメロディックパワーメタルというものを現代風に進化させたというか、スラッシュ的な要素もあるというか、ええ、なんとも表現しがたいんですよ、これ。それらに展開やリズムパターンが頻繁に変わる、所謂プログレっぽさも取り入れており、加えてKeyも一般的なクサメタリックな音色ではなく、スペーシーないしサイバーちっくな電子音を多用しております。とりあえずさわりのここまでだけでも前作とは全然違うことがわかりますね。やたらめったら伸びるハイトーンが素敵だったボーカルは、ややだみ声というかミドルあたりをうろつく太めの声で勝負するようになりました。しかし3のサビのようなミドルトーンからハイトーンへと転じるあたりにごくかすかに感じるナヨっちさが、どことなくB級の香りを残しているようでおもしろいです
そんなわけで終始ボイスエフェクトやら電子音やらをふんだんに盛り込んだサイバーちっくでモダンな雰囲気にあふれた楽曲が展開していくわけですが、それすなわちこのバンドはいろんなジャンルからかき集めてきただけのクソに成り下がったのかというと決してそういうわけではありません。たとえば6は先が全く読めないというメロディックパワーメタル的にはとっても×な展開の曲なのですが、そのような一度ではイマイチ理解できないような構成が独特のメロディと相まって不思議に魅力的な楽曲となっているのです。その絶妙なさじ加減の雰囲気をもったこのアルバムは、この閉塞しきったメロディックパワーメタルというジャンルに新たな風を送り込む一枚なのではないかと個人的には捉えています。さらに、複雑ともとられそうな構成の中にあっても1stの時のようなキャッチーさは失われたわけではないので、逆にそのような先の読めないような複雑な展開があるからこそ、キメのフレーズが流れをたどった後に提示された際「ああ、ここに持って行くためにいままでの展開が存在したんだな」と思わせるような楽曲群として瑞々しく生きているように思えます。それはリスナーの好みに非常に左右されることは明白ですが、新生Cydoniaを新生Cydoniaたらしめるものとなっていると思います。特に3、4、5はそれが顕著かなと思いましたね。4、5ででてくる女性ボーカルもなかなか・・・なかなか・・・いい・・・アクセント・・・うほほ・・・。アルバムの中心によい曲を集めているので、ありがちな中だるみをしないというのも好印象だね。 とてつもなくひいき目な評価をすれば、これが世に受け入れられるのはまだ先なんだけどそれを見抜きすぎて早く出しちゃったような感じが個人的にします。ありがちなメロディックパワーメタルバンドからは一線どころか二線も三線も画し、完全なる独自の道を歩み始めたこのCydoniaでありますが、ある意味1stからものすごい勢いで化けた面白いバンドなのでチェックしておくのもアリかと。1st路線も大好きでしたが、こうなってしまった以上この方向を貫いてほしいです。あとね、蛇足だけどね、ドラムがね、Mat様じゃなくなっても、かなり耳を引くドラミングをしてるのが個人的に大好きだよ(笑
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Best tune : One Last Crime
なんか意外と頭に残るよ。早口で面白いAメロとそれを加速したBメロからゆったりとしたサビへの移りが新Cydoniaってかんじ
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