Hats Barn / A Necessary Dehumanization
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Track List :
01 L'Ombre de ce Monde 02 Le Chant du Mort 03 Symbols of the Black Art 04 Plague of World 05 Satanik Necro Perversion 06 Filius Mortis 07 The Little Singers of the Wooden Cross 08 Inject the Poison 09 They Are the Genocide 10 Inquisitor 11 The Litany of the Hung
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評価 … ★★★★★★★★☆☆(岩盤(Great)) フランスのバンドHats Barnの2014年4月に発売された4thアルバムです。十字架やドクロがたくさん描かれたジャケットが素敵ですね。本作でもAbystrumさんとPsychoさんで全てのパートを担当してレコーディングを行っているようです。
さて、楽曲ですがロウなサウンドでジリジリとしたギターと音圧の低いドラムに冷たく重いヴォーカルがかぶさります。後半から適度にメロウなメロディーが繰り返され、高温での歌唱も織り交ぜながら、L'Ombre de ce Mondeは終りを迎えます。
次いでLe Chant du Mortでは冷たいメロディーを静かに奏でるギターサウンドで始まり、勢いのあるドラムサウンドが絡みつく美しい様式を伴った楽曲となります。まるでギターソロでもあるかのようなパートにも満たされています。とても乗りやすくキャッチーなリズムが繰り広げられるため、思わず体や頭を動かしてしまいたくなること請け合いですね。
3曲目となるPlague of Worldは打って変わって、出だしから荒々しさを前面に出しブルータルな一面を見せてくれます。ヴォーカルもドラムサウンドも豪快に我々にあらゆる感情をぶつけてくるかのようです。
Plague of Worldではスロウテンポなギターメロディからミドルテンポへと展開してゆきます。ポコポコとしたドラウンサウンドには軽快感を感じることができるでしょう。中盤では穏やかなアルペジオを聴くこともできますが、そこからはブラストビートへの急展開も待っています。
続くSatanik Necro Perversionはわかりやすいメロディを伴ったフランスらしい楽曲と言って良いでしょう。この曲もアルバムの中ではキャッチーな楽曲でありつつ、中盤以降ではアグレッシヴな面も大きく感じることができます。トントンと鳴らされるドラムのサウンドに身を任せてみましょう。
アルバム中盤となりFilius Mortisではヘヴィな雰囲気を全面に押し出してきます。緩慢で気怠いリズムから後半は若干テンポが上がりますが、全体を通して重苦しさをたたえ続けています。
一転して7曲目のThe Little Singers of the Wooden Crossはテンポの早いパートで始まり、終始勢いを保持しています。爽快感のあるリズムと深みのあるヴォーカルの対比がよく現れていることを感じさせられます。後半では一気にサウンドの密度が上がるかのようです。
アルバムも後半となり、Inject the Poisonへと入ってゆきます。終始穏やかなテンポで楽曲は奏でられ、やわらかみのある優しいメロディが繰り返されます。後半ではここまで蓄積させられた感情を解き放つかのように、楽曲は力強さを増しさらなる悲しみを呼び起こします。
They Are the Genocideは勢いを再び増した楽曲で、気持ちのよいブラストがふんだんに散りばめられている他、ツタツタと快適に鳴らされるリズムに体をあずけることもできます。
続くInquisitorはそのままの勢いを引き継ぎつつ更にスピード感を増して進行してゆきます。この流れは大変美しくも儚さを感じさせられるものであり、通りすぎてゆく激情が凝縮されたサウンドに包まれることになるのです。
そしてアルバムのラストとなるThe Litany of the Hungへと流れは引き継がれてゆきます。過ぎゆく時の短さをさらにかんじ更に感じることとなるでしょう。ここへと至るまでに紡がれてきた様々な感情が圧倒的なサウンドに載せられて全て解き放たれてゆくのです。
全11曲で52分ほどのアルバムとなっていますが、全体を通して緩急が良くつけられておりバランスの良い一枚といえるでしょう。ヴォーカルも終始安定した2つの声を聞かせてくれており、安心して聴くことができます。ジャケットの中央に描かれた何らかの存在とともに、薄暗くも悲しさと美しさの同居した世界に浸ってみましょう。そこに映し出される感情を全て受け止めた時に得られるものは何なのか、彼らの音楽と共に見つけることができるでしょう。
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Best tune : Le Chant du Mort
気持ち良いドラムサウンドと切なさを湛えたメロディが絶品の一曲です。
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