Schrat / Schattenwahn
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Track List :
01 Prolog 02 Mal der Schande 03 Schwarze Brut 04 Transzendenz 05 Beschwörung... 06 Kriegsgericht 07 Jenseits der Einsamkeit 08 Eruption 09 Im Zwielicht-Abgrund 10 ...Erbarmungslos
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評価 … ★★★★★★★★★☆(仏盤) ドイツのバンドさん、2011年7月に2年ぶりにリリースされた2ndアルバムです。ドイツ語の歌唱と勇壮でアグレッシヴなサウンドが魅力的な1枚に仕上がっています。
妖しげなシンセサウンドによるインストゥルメンタルで幕を開ける01から聴きどころ満載ですのでじっくり音を楽しんでみましょう。様々な要素が散りばめられています。BGMに流しておくのも良いのですが、所々ではっと息を飲まされます。
まずわかりやすくメロディアスにパタパタと走りながらトレモロを奏でまくる02でどっぷりと引きこまれ、ウッという心強い掛け声に誰もが安堵するのです。ヴォーカルはうまく声を使い分け、語り的なパートも取り入れてゆきます。中盤での雄叫び連発からの流れは曲のかっこ良さが際立ってきます。
続く03はアルバムの中でも最長となる8:15の曲ですが、重々しいギター、ベースと更に地面を引きずるかのようなヴォーカルが見事に調和し変幻自在なテンポで曲を創り上げていきます。物悲しいメロディも随所に張り巡らされ、切なくも苦しく美しい世界観を醸し出しています。追い上げるようなヴォーカルが畳み掛ける様も圧巻です。
04では重機のような力強いドラムサウンドとノリの良いリズム&歌唱で雰囲気を変えて攻め立てます。インストゥルメンタル曲を除くとアルバム中で最も短い4:18の曲で、印象的なギターリフをばら撒きながら一貫して軽快なテンポで乗り切ります。バッキングで聴かれるエスニックなテイストのギターサウンドも魅力的ですね。
3連リズムと呪咀的な歌唱で始まる05は矢継ぎ早に繰り出されるヴォーカルがなんとも不思議な印象を伴い、シンバルを駆使したドラムも耳に残ります。まさに息をつく暇を与えない展開です。中盤では無情なほどに悲痛なパートが設けられており、繰り返されるヴォーカルとメロディが心を締め付けます。そしてあえてフェイドアウトして曲を終わらせます。より一層の寂しさを与えてくれることでしょう。
またまた雰囲気を変えて06では勢い重視の曲が待ち構えています。ツタツタと小奇麗なリズムと刺々しいギターサウンドに、荒々しいほどに陽気さすら感じさせるヴォーカルが乗ります。そして久々にウッも聴くことができるのです。とてもロックな楽曲となっており、ライブで演奏したらさぞかし楽しいかと思われます。
ここからは後半戦になります。07では明快な語りパートを伴った冷たく湿ったギターのメロディで曲は始まります。そして非情にも爆走を始めヴォーカルが駆り立てられるのです。この勇ましくも哀愁の漂う様にこのアルバムの真髄を感じ取ることができるかもしれません。ドイツ語の歌唱が存分に意義を持って発揮されています。終わりの見えない旅や戦い、苦難の日々もすべてが収束していくかのようです。
続いて08は冒頭から強気に驀進してゆきます。今までに聴かれた力強さ、悲しさ、陽気さなどあらゆる感情を飲み込まんとするかのようです。冷たく光るガラスのように反射して研ぎ澄まされた切れ味で襲いかかります。中盤ではスローテンポなパートへ移ろいゆくのですが、感情を爆発させて流し込んだ悲哀がひときわ際立って感じられます。そして、再びテンポを変え終焉へと向かって突き進むのです。
09ではまさにこのアルバムもクライマックスを迎えることとなりますが、全く容赦はなく無慈悲な旋律は未だ衰えることはありません。残されたすべての力を振り絞り、楽曲は全身を貫いてゆきます。その悲しみたるやとても一言で表すことは不可能でしょう。中盤から後半にかけての爆走〜スローへの綺麗な移り変わりや魂からのヴォーカルの息遣いはここへきてさらに鋭さを上げているのかもしれません。
そのまま終幕となる10へと途切れることなく続きます。シンセサウンドと囁きかけるかのような声によって進み、再び語りによって物語は完成させられます。更に続くささやき声と冒頭とは異なって神秘的な雰囲気を漂わせたサウンドは共に混ざり、アルバムは合い静かに幕を閉じます。大作を見事にまとめ上げています。
是非とも多くの人に聴いてもらいたい珠玉の一枚です。
発売は夏ですが、長く寒い冬の夜のお供にしてみましょう。
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Best tune : Eruption
メタル的なかっこ良さが存分に発揮されつつも、このバンドの魅力を見事に体現した一極であると思います。
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