2nd
Waldgeflüster / Femundsmarka - Eine Reise in drei Kapiteln
雲に覆われますね。

Track List :

01 Prolog: Aufbruch
02 Kapitel I: Seenland
03 Interludium I: Rast
04 Kapitel II: Steinwüsten
05 Interludium II: Nacht
06 Kapitel III: Fichtenhain
07 Epilog: Heimkehr

評価 … ★★★★★★★☆☆☆(秀盤)

ドイツのブラックメタル、Waldgeflüsterの2ndアルバムです。2011年5月に2年ちょっとぶりにリリースされました。ストーリー仕立てのアルバムとなっています。アルバムタイトル、トラックリストからもわかりますが3つの章を巡る旅路と言ったところでしょうか。このような構成になっていますが、音楽性は1stを完全に引き継いだメロディアスで冷たく乾いた楽曲です。

序章は出発とタイトルが付けられておりますが、アコースティックギターが鳴らされ、時折SEが入ります。鳥かなにかの鳴き声のようなものも聴かれます。旅への出発を祝われているのか、待ち受ける何かを暗示しているのか。

第一章 湖の地ですね。このアルバムは各章とも10分を超える長さの曲によって構成されています。序章、幕間、終章は半分程度の長さで構成されます。最初の地はドラマティックな、そしてプリミティブな演奏と歌唱によって幕を開けます。叫び歌うヴォーカル、しっとりとした反復メロディ、落ち着いたトレモロリフ、時折聴かれるブラストビート、と暗く冷たさを感じる世界へと誘われます。終盤での『Seenland!』という悲哀に満ちた絶叫とアコースティックギターの奏でるサウンドによって幕を閉じます。儚い幻想の地への一歩は美しく閉ざされることとなります。

幕間 休息では、静かな世界を神秘的なkeyの音色が支配してゆきます。冷たい風の吹くようなSEを聴くこともできます。これが次なる地への小休止となります。このような幕間に於いても、既に旅立っていった者たちは戻るわけではないのです。一時の安らぎをどこで得るのか、それをここで見せられます。

第二章 荒野の石です。暴虐的なサウンドでこの二つ目の旅路の幕は気って落とされます。そして只管紡ぎ出される歌唱によって圧倒させられます。荒みきったこの場所に於いて見出されるものは何であるのか。中盤でのスローテンポな曲展開での大胆な反復メロディは全ての音を吸収し、見えるものも見えないものも飲み込もうとしているかのようです。後半にいくにしたがって、メロディもサウンドも硬さを増してゆきます。神秘性のある朗々とした歌唱は別世界から見ているかのようであり、傍観者となることは最早不可能なのです。高音で鳴らされるギターサウンドの絡みの冷たさは静けさと冷たさを併せ持っています。

幕間 夜では、アルペジオでギターが鳴らされます。この深く重く冷たい夜は唐突に現れるメタルサウンドによって上書きされてゆきます。この楽曲はアコースティックギターだけによるものではなく、ヴォーカルを含めた各パートの演奏によっても示される幕間となるのです。ヴォーカルは基本的にここでの役割は悲壮な絶叫であり、メロディアスさも高まってより一層旅路の途中を冷たく見守ってくれます。アコースティックギターサウンドとの絡みはどちらが勝つわけでもなく続けられ、再びアコースティックギターパートのみとなった後に次の地へとそのまま繋がります。ここでは影の被さりを感じることになります。

第三章 こぎれいな木立です。ここがこのたびに於ける最後の目的地となります。湖即ち水、荒野即ち地、木立即ち木、3つの旅路はこのように巡り来ました。この楽曲ではタイトルとは対照的に再び荒々しく膜を開けることとなります。そして多い被さる木立の中に絶望を見つけるのか、または終末を見出すのか。鬱蒼とした楽曲の中で叫び声は悲痛さを増していくのでしょうか。囁くかのような歌唱も織り交ぜ、存在する筈の無い世界へ語りかけているのでしょうか。楽曲は後半になるにしたがって再び全てを飲み込んでゆきます。あらゆる存在が優しく、そして力強く巻き取られてゆくのです。無へと至る途上、それこそがこの3つの自然の猛威を巡る旅路なのです。

終章で帰還を果たします。聴かれるものは水しぶき。水の中へと帰って行くのか、残されたものは複雑に奏でられるアコースティックギターのサウンドです。何を見、何を得ることになるのか。最後に残るものも水の音、そして風の音、軋み。

あなたはどこを旅し、そしてどこへ帰りますか。

行く先を見つける旅に、今、出てみましょう。

Amazonで買えるバンドの作品一覧を見る

Best tune : -

アルバムを通して一つの作品となっているので、曲を選ぶことはしないでおきます。
トラックバックURL
http://www.xametal.net/impressions/tb.php/817
Topへ戻る

Xametal.net Review Script Ver 8.0-