Hrizg / Anthems to Decrepitude
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Track List :
01 The Infernal Scripture 02 I Hate 03 Ab Aeterno 04 Opposite to Light 05 Anthem to Decrepitude 06 Angercraft 07 Necrosanctum 08 Into the Caves of Earth 09 Invierno 10 In Solitude 11 Broken Shield
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評価 … ★★★★★★★★☆☆(岩盤(Great)) スペインのバンドさん、4年ぶりの2ndアルバムです。前作に引き続き、Hrizgさんが一人で全部やっています。2011年4月にMoribund Cultからリリースされました。ここのレーベルらしく、ざらざらした音質でのメロディアスな楽曲が特徴です。
不思議な世界に迷い込む感じのSEで始まる1曲目The Infernal Scripture。バタバタしたドラムが入り、アルバムを通して聴かれる低音域主体の唸り声ヴォーカルが出迎えてくれます。ねちっこい地響きのようなヴォーカルで、畳み掛けるというよりも覆いかぶせるスタイルですね。妖しげな呪詛のようなパートをもって曲が終わるのもたいしたものです。
続いてI Hateも曲名の通りに嫌悪をぶちまけるように出だしからブラストで激走します。このタイプのヴォーカルが実に気持ちよく嵌まっており、Hate!っと叫んでいるのも実に小気味よく、ドラムのリズムパターンなども入り乱れていて随所に入る歌詞の無い唸りや叫びも曲を多方面からもり立てています。
どことなく神秘性と虚ろな程の美しさをたたえたAb Aeternoは、曲の後半に向かうに従って激情が固まり勢いが強くなります。ヴォーカルの存在感がやはり圧倒的であり、パワフルな演奏とともに盛り上がります。終着に向かって邁進する様は圧巻と言えます。
Opposite to Lightも同じような雰囲気で突き進む曲ですが、出だしからのメロウなサウンドが鳴り響きギターリフに於いても主張を繰り返しています。まさに闇を表すかのごとく暗澹とした雰囲気を遺憾なく発揮した楽曲で、重々しい地下世界のような感覚を全てのリスナーに届けているようです。
アルバムタイトルトラックとなるAnthem to Decrepitudeはスピーディでストレートな楽曲であり、このアルバムにしてはちょっと尖った感じの鋭いメロディも顔をのぞかせています。突き抜けるサウンドと強く蹂躙するヴォーカルの絡み合いは筆舌に尽くしがたいオリジナリティを誇っており、他を引き寄せないというよりも自らの奈落へと押し込むでしょう。
6曲目となるAngercraftでは楽曲は神秘性とともにブルータリティを発揮し始めます。各パートが重く絡む出だしからの、薙ぎ払い押し潰すドラマティックで残忍な展開はまさしく神をも滅ぼすかのように自らの世界を組み上げています。
次いでNecrosanctumではくっきりとしたメロディラインを伴ってダイナミックで威圧的なサウンドを繰り広げています。この明瞭さと悲壮さは終盤になる程に強まり、衰える事無く嗚咽のようなヴォーカルへと変わりゆきながらも一つの物語を造り上げています。
そして、アルバムの中でも最も悲壮感の漂うInto the Caves of Earthへと傾れ込みます。曲のタイトルの通り値の奥底へと向かうかのような壮絶な絶叫が支配を繰り返しています。器用に声を使い分けることによって、見事に壮絶な情景を描き出すことを可能としております。ダイナミックなサウンドではありますが、最終盤では可愛らしくも思えてきます。
強く叩き付ける雨であるかのようなサウンドとアコースティックギターによる優しくも儚いメロディに包まれたインストゥルメンタル曲であるInviernoは不穏な雰囲気を遺憾なく発揮して、1:41程の短い時間ですがアルバムをターニングポイントへと導きます。
そしてIn Solitudeは少し趣を変えて寂寞感を地底から溢れ出させたような曲調に変貌してゆきます。ゆっくりと、しかし確実に自らの地への誘いを続けます。一方的にマイペースで進みながらも、終盤に聴かれるギターのメロディアスさ加減はアルバム中でも非常に密度の高いサウンドを作り出しています。
ラストとなる11曲目Broken Shieldでの曲展開はドラマティックさでは他に寄せ付けるものが無い程であり、繰り返し打ち鳴らされるリズムやアコースティックパート、大仰なメロディラインなどヴォーカルパートを排除しアルバムを重厚に纏め上げています。9〜11の流れは、前半で大きくぶち上げた感情を全て収束させ、終止符を打たせる者となっています。
暗く苦しい世界への扉を今、あなたも共に開いてみては道でしょうか。待ち受けるのは生も死も超越した無限とも言える激情のうねり…。
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Best tune : Into the Caves of Earth
辛く悲しい旋律とヴォーカルが胸を打ち、世界を翻弄するダイナミズムにも溢れたこのアルバムでの山場となっている曲です。
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