2nd
Aaskereia / Dort, wo das alte Böse ruht
うにょうにょ。

Track List :

01 Die Leichenhexe
02 Die Waldteufel
03 Mein Raum in der Finsternis
04 Winter
05 Pestritt zu Hel
06 Der boshafte Geist
07 Dort, wo das alte Böse ruht
08 Der schwarze Wald
09 Als der Blick erlosch

評価 … ★★★★★★★★☆☆(岩盤(Great))

ドイツのバンドさん、2011年発売の2ndアルバムです。1stアルバムが出たのが2003年なので、実に約8年ぶりのアルバムということになります。ブラックメタルバンドにしては6人とメンバー多めです。ギターが3人もいますからね。その一人であるYordさんはアコースティックギター専門です。

一聴してわかりやすいブラックメタルサウンドをプレイしており、Grimさんのヴォーカルは掠れた感じの高音域で叫ぶスタイルです。クリーンヴォイスも使用して朗々と歌ったりもします。このあたりもブラックメタルの基本スタイル+発展系を忠実に守っている印象です。

さて、一曲目であるDie Leichenhexeは先述の通りブラックメタルらしい薄めのメタルサウンドでジリジリしたギターをかき鳴らし荒々しく走り、暗くも美しいメロディを伴ってヴォーカルが被さるスタイルで始まります。そして、このバンドの持ち味であるアコースティックギターが良いアクセントになっています。

続くDie Waldteufelではクリーンヴォイスでの歌唱を聴かせてくれています。最初と最後がクリーンで、中間部分はギャァギャァ歌っているというパターンです。勇壮になりすぎず、メロディがくどくなりすぎないというバランスの取れた音造りとなっております。

Mein Raum in der Finsternisでは、よりいっそうアコースティックギターが表に出てきております。決してアコースティック・ブラックなスタイルにはなりきらずに、オーセンティックなブラックメタルのスタイルを崩していないので、トレモロとアコースティックなアルペジオが同居する独特の雰囲気を醸し出しています。

4曲目は曲名からしてWinterです。そして、その名に負けじと吹雪のSEで始まりアコースティックギターが単調なメロディを奏で…という実に寒々しいことをやってのけてしまっています。これを3分半続けているのですから、まさに冬です。ドイツの冬の息吹を感じましょう。

Pestritt zu Helも寒々しい印象を残して始まるので、エレキの方のギターが奏でるメロディと悲痛なヴォーカルが絡み合い冷たく寒いサウンドとの印象を持たされます。ここで重要なのは、ブラックメタル的な反復メロディであり、アコースティックギターも参加して華を添えているというバランス感覚でしょう。

6曲目となるDer boshafte Geistは、アコースティックギターで始まりクリーンヴォイスで歌い上げています。この悲哀の入れ具合も彼らならではであることは然ることながら、トレモロやブラストの入るタイミングの良さにセンスを感じざるにはいられません。後半になって現れる囁き叫ぶかのようなスタイルのヴォーカルパートや後ろに引っ込んでもメロディをかき鳴らし続けるアコースティックギターパート、メタル然としたリズム隊の組み合わせの面白さが極まっています。

ここから後半は、長めの曲が続きます。まずはアルバムタイトルトラックであるDort, wo das alte Böse ruhtですが、7分半弱の尺を取ってじっくりとまさしく漆黒の世界を描ききっています。長いイントロの後に軽快なリズムが入り、薄ら寒いサウンドの中でヴォーカルが叫び歌います。ドラムのFafnirさんとベースのMorgothさんによるしっかりとした安定したリズムが曲の中盤からのダイナミックな展開を見事に組み上げています。

8曲目は8分半を超えるDer schwarze Waldです。こちらはアグレッシブなブラストビートで勢い良く始まりヴォーカルもテンション高めで、ブラックメタルなノリからの展開となる曲です。中盤での妖しさ満点なスローパートは抜け出せない完全な暗闇を彷徨うことすらできずに、ただただ叫び続けているかのようです。後半に向かって絶望的に加速していく曲展開も含めてベースの響きがかなりの面で牽引しているのも面白いところです。

曲の最後では更に悲しげなSEが使われます。ほーほー言ってます。

そして途切れる事無くラストのAls der Blick erloschへと続きます。12分半を超える大曲です。寂寞感をたたえた儚くも美しいアコースティックギターのサウンドと叩き付けるようなSEが続き、落雷のごとくブラックメタルパートがなだれ込みます。ひたすら暗く悲しい旋律は続き、希望を見出すことは叶わない夢なのです。中盤以降ではストリングスの音色も加わり、叫び歌い続けるヴォーカルを包み込みます。そこからの、Halvar NorgesverdさんとEihwazさんのギターの入り方が計算され尽くしており、曲の完成度を圧倒的に高めています。そして、全てを優しく包み込むようにして無限の時の中に終焉を見る事無くアルバムは終わりを告げるのです。

絶望感に溢れた暗黒の冷たい世界への誘い。そこはいつでも貴方のすぐそばにあるのです。

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Best tune : Als der Blick erlosch

このアルバムの全てが詰め込まれていると言って差し支えない曲であると思う。絶望感たっぷりの掃かない反復メロディと全てのパートの融合が完成しきっています。アルバムの最後の曲としての良さも多分にありますが。
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