3rd
Krallice / Diotima
青いです。

Track List :

01 -
02 Inhume
03 The Clearing
04 Diotima
05 Litany of Regrets
06 Telluric Rings
07 Dust and Light

評価 … ★★★★★★★★☆☆(岩盤(Great))

アルカディアのマンティネイアにいたソクラテスの友である婦人ディオティマは、アメリカ・ニューヨークの4人組によって青々としたジャケと共に現世において再び語り継がれることとなりました。Kralliceの約一年半ぶりとなる、2011年4月発売のこのアルバムは我々に何をもたらしたのでしょうか。

アルバムはインストゥルメンタルナンバーである、-から始まります。この単純な横棒であるハイフン、ここから全てが始まっていき混沌とした青の世界に聴く者は誰もが引きずり込まれてゆくのです。長大な曲をひたすら投げかけるこのアルバムですが、脳裏に絡み付いて離れない蔦の様に精神の奥深くまで貫き通す、鋭く深い音世界で圧倒的に包み込んでゆくのです。

どのくらい長いかと言うと、1曲目は2分程、2曲目は6分程ですが、3曲目から6曲目は12分〜13分と実にカラオケで歌われたら人によっては迷惑な長さなのです。ちなみに最後を飾る9曲目は9分半です。しかし、このColin MarstonさんとMick Barrさんの奏でる最初から最後まで一縷の光りさえも遮るかの如き混迷としたギターサウンドの中にあっては、誰しもが進むべき道を自ら見つけ出すことは不可能でしょう。

そして、同じくMick Barrさんとベーシストも兼ねているNicholas McMasterさんによるツインヴォーカルは方や重く激しく突き倒し、方や無慈悲に引きずり回すのです。ベースと共にしっかりとしたリズムを取るLev Weinsteinさんのドラムは非常に多彩であり、彼らの暗い霧に包まれた世界から決して逃すまいとしているかのようです。ブラックメタルとしては非常に忠実なトレモロや繰り返しリフを多用しつつも、ツインヴォーカルによるある種の掛け合いを軸とするかの如き呪詛のようなパート、テクニカル且つ一筋縄では捕らえることのできないリズム、そしてそこから生まれ来る混沌としたメロディ世界。

これこそが今を生きるディオティマが我々に提示するものなのでしょうか。ちょうど4曲目にその名を冠した曲が収録されています。アルバムの中核をなす曲と言わなければなりません。打ち鳴らされるドラムのダイナミズムに魂を奪われ、儚く揺らぐメロディに蹂躙され続けるのです。歌唱は、ただただ激しく優しく見守るのみ。

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Best tune : Diotima

非常にドラマティックな曲であり、様々な音が混沌へと向かっていく様は非常に荘厳で美しく、メタルの傑作曲と言えるでしょう。
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