2nd
Quintessence / Le bourreau de Tiffauges
突き抜けろ

Track List :

01 1404
02 L'or à la croix de sang
03 Le brasier des braves
04 Sur l'autel du sadisme
05 Vos Obsecro
06 Carnations
07 L'oriflamme des ténèbres

評価 … ★★★★★★★★★★(神盤)

フランスのブラックメタルバンド、Quintessenceの2ndアルバム。発売は2011年2月です。1stアルバム(レビューはそのうち書きます)からほぼ2年ぶりの発売となる今作は、前作から更に幅の広がった見事なメロディックブラックメタルとなっています。

…とはいっても、フランス産ブラックメタルということもありあまり有名ではないかもしれないバンドですが。

が、聴かないのは非常にもったいないと言う他無いです!

まず何と言っても、バンド名『Quintessence』が美しいです。これは英語でクインテッセンスみたいに読みますが、意味は調べてください。非常にいい言葉です。それに、『Q』で始まるバンドってほとんどいないですよね!!メタル界でなくても。実に貴重です。

アルバム名、曲タイトルはフランス語なので、英訳(俺訳)を記しておきます。

The executioner at Tiffauges
01 1404
02 The gold cross of blood
03 The blaze of the brave
04 On the altar of sadism
05 Your Obsecro
06 Carnations
07 The oriflamme of darkness

まず、Tiffaugesってのは、フランスの地名です。なんか意味のある地なのかどうかは知りません!一曲目は1404ですが、この数字の意味も知りません!可能性として考えられるのは1404年って年かなあ。Obsecroってのはキリスト教の祈りに関係のある言葉です。興味のある人は調べるといいと思います!7曲目のoriflammeっていうのは、中世末期のフランスの旗です。googleの画像検索で見れます!

では楽曲ですが、基本的にはツタツタと軽快に走るドラムと、ジリジリするトレモロと、中音域でのがなり声的ヴォーカルにかなりメロウなメロディを乗せたスタイルです。ドラムもひたすらブラストってのではなくって、Fogさんが結構テクニカルなプレイをしてますし、1曲目1404ではかなり緩急つけたりしていて気持ちよいです。このアルバムは前作と比較して、1曲が6分〜8分台と長めです。そこをうまく変にプログレッシヴにならずにまとめています。1曲目の1404からして流麗なギターソロもあり、哀愁たっぷりです。

2曲目では走るだけではなく、叩き付けるかのようなドラムが印象的です。このバンドはFogさんがギター以外のパートをやってますが、楽曲中に於けるドラムの印象もおそらくこの中心的な立ち位置から来るものではないでしょうか。ライブでもドラムを叩きながら歌うの??ちなみに、keyはありません。そこが無駄にシンフォニックにならなくっていい所だと思います。かわりに?ギターは二人います。

続けて3曲目に行きますが、暴力的な音の嵐は治まる気配を一切見せません。クリアな音質で圧倒的な力を持ったサウンドが強力かつ無慈悲に襲いかかります。ちなみに、ジャケットはなんかおっさんが拳を突き上げていたり、右側には座ってる人がいたり、そんでもってロゴ以外は白黒といういかにもなブラックメタルで邪悪感もそこそこありますが、曲はそんなでもないです。邪悪というよりは、悲哀・悲痛を強く感じます。特にこの3曲目の後半ですが、苦しみの叫び声のようなヴォーカルと美しいギターのアルペジオ、それに続く悲しすぎるギターのメロディと強力な歌声を伴った爆走パート。このアルバムの神髄です。

4曲目はよりメロディアスなリフを目立たせた曲になっています。このメロディアスさが非常にクセになります、このバンド。クドくならない程度に随所に散りばめているのが、これまた良いセンスをしているなあと。後半に至っては勇壮さすらも感じさせてしまいます。1曲を長くして、様々な要素を曲に込めてみたのが今作でしょう。マンネリ化を避けつつ、正常進化しています。

次いで5曲目、Vos Obsecroは実にギャァギャァしている曲です。そして、歌唱パートのヴォーカルがかなりくっきりしているのですね。聞き取れと言われるとフランス語がわからないので無理がありますが、確たるメッセージを伝えようとしているかのようです。ギターパートもこの曲ではヴォーカルパートと交互に出てきて分けているのが特徴でしょうか。そして、唯一フェイドアウトして曲は終わります。

花の名を取った6曲目、Carnations。フランスではカーネーションは不吉な花とされているという話しもありますが、関係があるかどうかはわかりません!華麗なブラストビートを経て、綺麗なアルペジオを聴かせる曲2曲目です。裏では、まるで聖歌のような神秘的な歌唱もうっすらと聴くことが出来ます。やはり、この静のパートから、動の激走パートへの流れの美しさがこのアルバムの良さの一つとしてはっきり再認識させられますね。

ラストの7曲目。ちゃりちゃりとしたSEで始まり、溢れんばかりの悲しみを乗せたアルペジオで始まります。この繰り返されるアルペジオのメロディ、ヘヴィなギターサウンドが入り、ヴォーカルが入っても続きます。スローテンポ部を長く取り、ブラストへと流れますが、この主題となるかのようなメロディはいつまでも耳に残り、そして続くスローパート〜ミドルテンポパートまで形を変えて行き続けます。基本的にアルバムを通して重厚な音作りをしているのですが、最後を飾らんとするこの曲では更なる厚みを持たせているかのようすらあります。そして幾多の闘いを乗り越え、曲の始まりで聴かれたアルペジオとSEと共に終焉を迎えます。

実に多極なブラックメタルの世界ですが、メロディックブラックメタルの超優等生といっていいバンドさんです。暗く儚く無情な世界に、是非あなたも身を委ねてください。

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Best tune : Le brasier des braves

8分を越えるこの曲は、今のQuintessenceのQuintessenceが詰め込まれていると言っていいでしょう。アルバムの特徴を伝えるに相応しい一曲です。
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