評価 … ★★★★★★★★☆☆(岩盤(Great)) スウェーデンの見た目は白塗りブラック、中身は正統派というよくわからないカムフラージュをしているバンドのデビューアルバムがこちらだ。このアルバムというかバンド自体全然知らなくて、デビューするのを知ったのは2ちゃんねるでリリース10日前にスレが立ってからという体たらくだったんだが、サンプル音源が非常に良かったので購入に至った。スレ立ててくれた人ありがとう。
正統派というとギターがあまりメロくもなくギコギコいってて、ボーカルがウォゥウォゥとなんか雄々しくがなりたてて遅いというイメージが個人的にはあるんだけど、そんなイメージの正反対を行ってくれる素敵な内容だ。Nosferatuのサビのような、なんともいえない渋みのある哀愁歌メロに心地よくギターが絡むかんじを主体とした、全体的によく練ってるなーと思わせる意外なまでにメロディで勝負してくるタイプ。でも正統派的な雰囲気もしっかり固持してるのがいいんだなー。メロディのよさもあるんだろうけれど、速度も心地よい具合にあるので「正統派っていうとジャッ ジャッ ジャーンみたいな遅いリフに気が狂いそうだよドラゴンフォー!」みたいな人も大丈夫かと。てか俺がそうだから。
んでその感触は、意地でも疾走しないNocturnal RitesのGrand Illusionを速度20%上げで聞いたら最高に気持ちよかったあの時のものに近いものがあるな。サンプル音源を聞いた際のボーカル(なんか中域ぐらいがNocturnal RitesのJonnyに似てない?)の具合からLost HorizonであるとかHibriaが引き合いに出されていたように、確かにそれに近い感じの漢メタルっぺーしっかりとしたボーカルだ。違う点はハイトーンとになると雄雄しさよりも伸びやかな感じが前面にでるので、メロディラインとコーラスと相俟って妙に爽やかな印象を抱かせることかな。あと俺ってメロスピ聞いてるぐらいだからギター不感症なんだけど、このバンドのギターはなんかソロに限らず、バッキングもピロリロと絡めてくるのがすげえ絶妙なタイミングなので耳をひかれるものがあるね。
とにかくサビメロが秀逸なNosferatu, もりもりした哀愁がサビでがらりと変わるCrucified, 8ビートが心地よいMetal Monster, 導入部のツインギターがHelloweenっぽい疾走曲Fallen From Grace, Bメロからの展開がわくわくするScreams In The Night, サビでのハイトーンとコーラスの勢いがイイFor The King, ゆったりサビメロ系のMidnight Sun等等ほとんどがお気に入り。基本的にダレていきがちなこの手の音楽性にも関わらず逆に中後半盛り上がっていくのはいいね。曲がだいたい4分台なのも効果的に作用してんのかな。ところで欠点ではまったく無いんだけどちょっと気になったのは、格パートともにちょっとだけ音質が悪いというか、音が丸みを帯びている感じがするのよね。もうちょっと音圧高めの方が個人的には好みかな。
鼻息荒いまでに過剰に期待してると、第一印象としては若干物足りなさを感じるかもしれないけど、繰り返し楽しめるいい一枚と気づくまでに、そんなに時間はかからないと思うよ。もうちょっと引き出しが増えたらさらに良いバンドになるねー。楽しみ。
あ、アートワークはなんとかしてね。
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