1st
Sargeist / Satanic Black Devotion
☠持ってるよ。

Track List :

01 Preludium
02 Satanic Black Devotion
03 Obire Pertis
04 Frowning, Existing
05 Glorification
06 Panzergod
07 Black Fucking Murder
08 Sargeist
09 Returning To Misery & Comfort

評価 … ★★★★★★★★★☆(仏盤)

2003年にMoribund Cultから発売された1stアルバムです。日本盤の出ていないCDですがAmazonでも売ってます。というかAmazonで買いました。するとケースがビニールに入っていない上に微妙に割れていましたとさ。今後Amazonで買う人は気をつけましょう、というお話でした。何をだ。

Sargeistは、他にもいろいろなバンドをやってるメンバーが集まっているようですが、同郷のSatanic Warmasterと屡々比較されますので私もここはしておきます。このアルバムに関しては、メロディアス且つ強いスピード感のあるブラックメタルであり音楽的方向性としてはSWと一致しています。SWが好きなら聴いてみるといいし、逆もまた然りという事ですな。またメロディに関してはこちらの方がより強調されている感じで、雪崩のように耳に飛び込んできます。フィンランド流、極寒メロディが非常に心地良い。SWのサウンドは荒々しくざらついた感じですが、こちらは若干湿っぽいかな。あくまで比べた場合ですけど。

兎に角アルバム1枚通して非常にドラマティックです。サウンドばっかりゴージャスで喚きヴォーカルを乗っけてみただけのシンフォニック・ブラック系や、まして走ってるだけで中身のないメロスピ系などは軽く凌駕しています。このアルバムをドラマティックに仕立てているものは単にそのメロディだけではなく、我が身を削るかの如き痛切でヒステリックなヴォーカル、命の脈動を嘲笑うかの如く音を引きずり回すビート感、闇の中から響き渡る感触のサウンド。ここに畳み掛けるようにメロディが流れ込むのです。ブラックメタルでしか表現できないものを見事に体現しています。

楽曲はアルバム全体のイントロダクションとなる01で始まります。ぐゎ~~んゔゎ~~んとしてます。けっこう邪悪で微笑ましく感じられる始まりです。これはちなみに曲なのかどうかもよくわからないような曲です。ヴォーカルが強烈です。ヘヴィな05、コミカルな07と楽曲は多彩ですが、やはり08~09の流れは絶品です。ただし最初から最後までメロディの密度が濃い為、人によってはうっとおしく感じるかもしれません。私は大好きですが。

フィンランドには様々なバンドがいますが、質の高いブラックメタルとしてフィンランドのメタルシーンの底の厚さを示す好例としてこのアルバムは見事な輝きを放っています。ジャケットはこれでもかと言うほどブラックメタル臭を放っていますが、もはやメタルというただでさえ狭いジャンルをさらに狭く括るべき時代は終わっている。そんなことを思いながら聴くとこの黒々しいジャケットも愛おしく思えてくる一枚です。

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Best tune : Returning To Misery & Comfort

前半のファストパートから後半のスローパートへ、さらにまた疾走するのですがここは鳥肌が立つほどすばらしいです。最後はまたスローになり、魂の叫びをもってアルバムを閉じる完成度の高い曲です。この1曲だけでもこのアルバムの世界観が全て詰め込まれていると言っても過言ではないでしょう。メロディーも感動的ですよ。
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