Valentine / Valentine
バレンタインビーム

Track List :

1. God
2. Where Do We Go From Here
3. Never Be Lonely
4. Take My Hand
5. In The Arms Of Loneliness
6. Eyes In The Mirror
7. Morinezumi
8. The Mourning Minstrel
9. All Messed Up And Nowhere To Go
10. The Supernatural Sign
11. Just For Fun
12. Ma Cherie
13. Dreams Never Die
14. !
15. Remi

評価 … ★★★★★★★★★★(神盤)

オランダのメロディアスゴッドによる1995年リリースの3rdアルバム。Robby Valentine名義の旧作より一新、シンプルにValentineと名乗るようになってからの最初のアルバムとなる当作品は、神に啓示を受けたとばかりに天に手を翳した威風堂々の後姿を披露するジャケット通りの、すっと胸に馴染みそのまま離れない至福のメロディに溢れており、巷に溢れる大量再生産クラスの作品群とはあまりに、あまりに桁の違うスケール感を誇っています。

音楽性としてはQueen直系の多重コーラスと華麗な晴嵐ピアノプレイを元手にしたメロディアスハードで、最高にメロディックなラインを時に颯爽とした疾走感をもって美麗に仕立て上げるアレンジが凄絶なまでの悶絶感を誘発してくれます。特にQueen「Bohemian Rhapsody」の現代版的構成を持つオープニングチューン#1「God」はその極地で、前半の優雅なバラード調から一転ツーバス大疾走へと展開していく間奏パートには脱力感すら覚えるほど。他にも地上からの鋭い閃光に思わず雲が道を開けてしまうかのようなラインがサビで疾走する#4「Take My Hand」、聖者が奏でているかのような優雅なパイプオルガンによる導入部と同じくサビのアップテンポ感が印象的な#13「Dreams Never Die」といった一撃昇天チューンは、出会ったからには一生聴き続ける名曲群になるのではないでしょうか。

そしてこのアルバムが他のValentine作品と一線を画すポイントは中盤に配置された3連続の小曲群と#8「The Morning Minstrel」の尋常ならざる優雅感。前者は微かに灯る蝋燭の最後を見守るかのような繊細なピアノバラードに始まりダンスワルツで締められる浮遊感が印象的で、後者はバイオリンとピアノ・ウッドベースによって楽曲テンションと共にスピードアップして行く中世民謡的なメロディラインが、深夜に繰り広げられる田舎町の酒宴を想起させる曲なのですが、両者共にアルバム中継点という難しい役割を一風変わった趣向で見事にこなしてくれています。これらの曲のお陰で後半にも渦巻くメロディの洪水に新たな気持ちで溺れられるようになり、アルバムに“一粒で二度おいしい”性格を付随している為当作品を論ずるにおいて外せないポイントになっています。

ちなみに今フィレンツェからこのレビューを書いていますが、ヴェネツィアからの移動日となる早朝、水の都を離れ行く定期船の上でこのアルバムを聴いていたら地平線から顔を覗く朝焼けと海面を漂う金色の波色に溜め息と共に深い感動が溢れてきました。正しく一生モノの体験を演出してくれた当作品、あなたの手元にもいかが。中古CD屋によく500円以下で落ちています。

~どみね。~

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Best tune : God

一曲一曲が素晴らしいのは当然ながら、あえてオープニングのこの曲。メロディを前に崩れ落ちるかのような眩暈を覚えるなんてそうはない事かもしれません。
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