Stormlord / The Gorgon Cult
メドゥーサ

Track List :

1. The Torchbearer
2. Dance of Hecate
3. Wurdulak
4. Under The Boards(195,M.A.)
5. The Oath Of The Legion
6. The Gorgon Cult
7. Memories of Lemuria
8. Medusa's Coil
9. Moonchild (Iron Maiden's Cover)
10. Nightbreed
11. A Sleeping River

評価 … ★★★★★★★★★☆(仏盤)

イタリアのシンフォニック・ブラックメタルバンドによる2004年リリースの3rdアルバム。日本デビュー盤であると同時に、彼等の類い稀なる勇壮なメロディセンスが一つの完成形を魅せた前作「At The Gates Of Utopia」は、楽器同士の共鳴感には欠けつつもそれを埋め合わせて余りあるゴージャスなアレンジが見事で、ブラックメタル史上最も激クサー(゚Д゚)な作品として今でも愛聴する思い入れ深い作品となりました。彼等はアルバムリリース後にギターをGiampaolo Caprinoという人物に交代して積極的なツアー活動に入り、数々のビッグネームと同じ舞台を踏むなどワールドワイドな活動を展開して名を広めて行き、そして2003年末より更なる飛躍を目指してニューアルバムの製作に入ります。

そしてリリースとなった2年半振りのニューアルバムは、メロディの勇壮感はそのままに楽器陣の、特にリズム陣の安定感が数段向上した感があり、彼等に足りなかったモノを遂に手に入れた印象です。ただアレンジについては前作の過剰な程の飾り立てに比べれば多少抑えられ、よりブラックメタル本来の荒涼とした空気を生む方向にシフトしています。とは言ってもDimmu Borgerレベルのキラキラ感は維持しているので心配はいりません。バタバタしていたが故に我が子を見守るかのような母性を感じた前作に対し、クサミはそのままに一線級のブラックメタルバンドへと成長した今作といった趣きで、クサ界隈によくある”突っ込み所満載ながら好評だった前作を発展させようと凝った事を試みるも、付け焼刃ゆえに消化不良を起こし更にはメロディの叙情性を置き去りにしてしまう”、というジンクスを見事に打ち砕く力作に仕上がっています。

アルバム本編はずっしりと暗黒に構えつつも、表層的にはKeyの綺麗な調べが聴き易さを2・3倍に高めており、何度も聴いて曲の細部を覚えて行くのと比例して悶絶度合いも膨らんで行く印象です。特に#2・#4・#5・#8・#10は上記のポイントとスピード感が同居しており素晴らしい。インスト#7も曲中をハープのように流れる落ちるタイプのKeyの調べが綺麗です。バンドにズバリと合ったIron Maidenの名曲カバー#9「Moonchild」も、例のイントロをStormlordの音色で鳴らすことで全く違和感なく、原曲を知らない人が聴いたらオリジナルなのではないかと思うような出来に仕上がっています。ブラックメタルバンドによるメイデンカバーというとCradle of Filth「Hallowed Be Thy Name」や、Graveworm「Fear Of The Dark」がパッと思い付きますが、それらに全く引けを取らない秀逸っぷり。この曲に限らず中音域を押し込めたプロダクションが悪く言えば篭り気味だけどね。

とにかく、素直に良いです。前作のレビューでも書きましたが、”キラキラ系は好きだけどデスメタルはダメ!”と言う人のシックスセンスを開眼させる可能性すら有していそうな取っ掛かり易さは、バンドの大きな武器として今作でも存分に生かされて行くことでしょう。
~どみね。~

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Best tune : The Oath Of The Legion

だってクサイんだもん。
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