Tristitia / Crucidiction
十字架

Track List :

1. Ego Sum Resurrectio
2. Christianic Indulgence
3. Crucidiction
4. Wintergrief
5. Envy The Dead
6. Lioness'Roar
7. Mark My Words
8. Gardenia
9. Final Lament

評価 … ★★★★★★★★★☆(仏盤)

スウェーデン出身の、メロディアスゴシック・デスメタルバンドによる1996年発売の2ndアルバムです。当時は日本版も発売されました。あのダン・スウォノがプロデュースを手がけています。

1は非常に神秘的且つダークなイントロであり、言いようのないほどの冷たさ、寒さを放っています。まさしくこのアルバムの始まりにふさわしいナンバーです。ひっそりとした中に何か恐ろしいものがいるかのような印象を与えます。この曲でのみ女声ヴォーカルが聞かれます。続く2はディープなクリーントーンの男声ヴォーカルとデスヴォイスが交互に歌っています。ギターは絶えずメロディアスであり、寂しさや悲しさを伝えています。当然スローな曲ですがドラマティックです。

3はしつこく同じメロディを引き続けるギターのリフと朗々と歌うクリーンヴォーカルで呪術的な雰囲気を持って幕を開け、デスヴォイスの後ギターがぽろんぽろん弾くパートがあります。静かです。その後ちょっとノリノリになるパートもあります。ゴシックですが決して単調にはなりません。やはりメロディアスなギターソロもあり、そのまま終わります。

4は8分を超える曲でありこのアルバム中最長です。いろいろと展開のある曲なので、長いからと言って飽きさせることはありませんよ。彼らの作曲能力は大変優れていて、陰鬱さの中に引き込まれます。この曲はデスヴォイスの割合がとても高く、暗黒的な演出がぴったりとはまっています。

5は寂しげなメロディーで始まりますが、このメロディは絶品です。その後ヘヴィなリフが始まるわけなのですが、スロー一辺倒にならずちょっとテンポを変えてみたりもしています。メロディアスなギターとデスヴォイスの絡みもかなり良いです。そしていきなり終わります。

続く6はギターがメロディーを奏でる中、ドラムが妖しげに入ってきて始まる曲です。ここまで聞いてきてホントに陰鬱なアルバムであることが身にしみてきますが、このギターのメロディも何でこんなに暗いの?と訪ねたいほど暗いのです。この曲はインストゥルメンタルナンバーです。淡々とした曲ですが彼らの魅力が詰まった名曲です。

7はこれまたヘヴィでスローな曲です。暗闇の中で冷たい水に身を浸しているかの如く寒々しいパートを持ち、クリーンヴォイスの後のデスヴォイス、そして非情なまでの冷たさを湛えたギターのメロディがそれを引き立てます。その後には、ミッドテンポになるパートがあり、彼らの手法がこの一曲に見事に詰め込まれています。

続く8はアコースティックギターによる短めのインストゥルメンタルナンバー。何とも清らかで美しいです。いっさい混じりけのない寂しいメロディを堪能できます。小曲ですが、ヘヴィなアルバムの中にあってとても引き立っています。

最後の9は最後と言うこともあってかドラマティックに始まります。といってもギターとドラムの絡みだけですが。それでもこれだけの表現力がある彼らは才能があります。そしてヴォーカルが被さり音は厚みを増して叙情的に曲は流れていきます。アコースティックギターサウンドも用いられ、デスヴォイスが入ってくる場面は悲しみで満ちあふれています。

アルバム全編を通して、ヘヴィでドゥームな感じの漂うゴシックメタルです。ゴシックメタルにも様々なパターンがありますが、彼らは個性的なタイプで陰鬱さは抜群です。それでいて非情にメロディアスで、ドラマティックなアルバムなわけですから名盤なわけです。

ゴシックメタルファンはもちろんのこと、暗くてドラマティックなメタルが好きな人には是非聞いてもらいたいアルバムです。疾走することはありませんが、構成的に見ても良いアルバムですので、スローテンポなメタルですが多くの人に聞いてもらい彼らのディープな世界に浸っていただきたいですね。

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Best tune : Mark My Words

暗くて美しい音世界が十二分に表現されています。アルバム全部激暗いので、一枚通して聞く必要がありますが、この曲を選んでおきます。
彼らの音楽がいかに他と違うのかがよくわかります。
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