2nd
Wuthering Heights / To Travel Forevermore
時の旅人

Track List :

1. Behind Tearstained Ice(インスト)
2. The Nevershining Stones
3. Dancer In The Light
4. Lost Realms
5. Battle Of The Seasons(インスト)
6. When The Jester Cries (日本盤ボーナス)
7. A Sinner's Confession
  -Dawn
  -The Child in the Sun
  -The Man in the Moon
  -Dusk
8. See Tomorrow Shine
9. Through Within To Beyond
10. River Oblivion

評価 … ★★★★★★★★☆☆(岩盤(Great))

凄ぇ・・・(溜息)。
・・・いや、マヂで感服しました。

 本作は、奇才Erik Ravn<G/B/Key/BackVo>率いるデンマーク産バンドの2ndアルバムにして日本デビュー盤。
 音楽性は前作同様、アヴァンギャルド・プログレッシヴ・シンフォニック・スピードメタルとでも言うべき独特のモノです。疾走する叙情メロディや荘厳なオーケストレーションを前面に押し出しつつも、「様式美」とか「お約束」という言葉を真っ向から否定するような聴く者の意表をつく展開を次々と繰り出すというオリジナリティ溢れるスタイルを貫いています。

 ただ、前作の時点ではアイディアは良くとも、いかんせんイモっぽかったんですな。実際、自分の過去レビューでは、

「レーベル側はRHAPSODY系のシンフォニック・メタルバンドとしてこのバンドを売り込んでいるようですが、実際はシンフォニック・スピード・プログレッシヴ・へなちょこメタルです。一言で言えば、クサメタルですが。Vo.はB級メタルらしからぬ上手さなんだけど、バックの演奏や音質、変態的な曲構成は間違いなく一般リスナーを遠ざけてしまう事でしょう。」

と書いていました。

 しかし、今作では変態的な曲構成はそのままに、楽曲単位、そしてアルバム単位での整合性が高いレベルで保たれているというところに大きな成長の跡が見られます。「ここでそう来るか!!」というような展開があったとしても、1曲聴き終わってから振り返ると、それは必然的展開であったかのように感じてしまうんですよ。奇妙な感覚ですが、それがまた「もう一回聴いてみよう。」という気を起こさせて、結果的に中毒症状を引き起こすんですな。

 この成長っぷりは、全てのメンバーがエリックの思い描く音世界を忠実に再現出来るだけの演奏力に達した事(リズム隊のチェンジが◎)、そしてトミー・ハンセンの手による良質なサウンド・プロダクションを得た事が大きく影響しているのは間違いないでしょうね。
 ちなみに元TAD MOROSE/MEMENTO MORI等で活躍しているヴォーカルKristian"Krille"Andrenは相変わらず湿り気のある魅力的な声を聴かせてくれてます。

 比較対象を出すのは非常に難しいんですが、例えばSECRET SPHEREの2nd「A Time Nevercome」を気に入った人なら間違いなくハマるんじゃないかと思います。個人的には捨て曲無しですが、万人受けするドラマティック・スピードメタルチューン"The Nevershining Stone"SKYLARKの爆走パートに逼迫する感動を与えてくれる"Lost Realms"、不可思議な構築美を思う存分堪能できる組曲"A Sinner's Confession"は特にオススメ。
 鮮烈にして深遠なドラマティック・サウンドに心ゆくまで悶絶して下さい。(J)

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Best tune : The Nevershining Stones

9分超の組曲「A Sinner's Confession」も捨てがたいのだが、6分程度の時間に彼らの魅力が余すところ無く詰め込まれたこの曲を選出。俺が真に求めるシンフォニック・スピードメタルというのは単に突っ走るだけではなく、この曲のように緩急の妙が堪能できるモノなんですよ。
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