8th
Lacrimosa / Echos
イイ(・∀・)ジャケ

Track List :

1. Kyrie - Overture
2. Durch Nacht und Flut - Suche Part 1
3. Sacrifice - Hingabe Part 1
4. Apart - Bittruf Part 1
5. Ein Hauch von Menschlichkeit - Suche Part 2
6. Eine Nacht in Ewigkeit - Hingabe Part 2
7. Malina - Bittruf Part 2
8. Die Schreie sind verstummt

評価 … ★★★★★★★★★★(神盤)

スイスの2人組ゴシックメタルバンド。2003年発売の通算8枚目となるアルバム。シングルで先行リリースされていたDurch Nacht und Flutを筆頭に、今作も非常にドラマティックであり、ファンなら納得、寧ろ彼らの最高傑作といえる内容のアルバムとなっている。以前よりオーケストラとの競演などを通してメタルという枠をとうに飛び出し、ゴシックメタルと単純にくくってしまうことのできない音楽をプレイしてきた彼らであるが、作を重ねるごとに高い次元でレベルアップしているのが何ともうれしい。メロディーセンスもいつもにもまして素晴らしく全編にわたって配されている泣きメロの感涙度はハンパじゃない。

12分以上に及ぶシンフォニーとコーラスからなる壮大なインストゥルメンタルというより彼ら流クラシックである1にして、このアルバムが我々の期待を遙かに越えるものであることを予期させるに相応しいものとなっているのだ。明朗なメロディーは時に力強くそれでいて愁いを含み、この時点で既に感動の渦たるこのアルバムの世界へと引きずり込まれる。

そして続く2は柔らかなオーケストラのイントロと女声コーラスによって幕を開ける。ここでギターやドラム、ベースが加わりヘヴィな音を響かせると共にTiloのある意味悲壮とも言えるヴォーカルが入る。彼のヴォーカル、非常に深みがありいつになく胸を締め付ける。女声ヴォーカルAnneとの絡みも最高。そして4:50あたりからのメロディがめちゃめちゃ切ない。この時点で完璧にノックアウト。

なにやら変わったぼろんぼろんした音とベースで始まる3のようなひたすら寂しげな曲で、このアルバムが決して単調なアルバム出ないことがはっきりわかる。どの曲も彼らならではの曲なのだが明らかにはっきりとしたカラーを持っているのだ。この曲はダークで陰鬱な側面が強いと言えるだろう。そしてギターの奏でるメロディが印象的である。

そして4Anneが浮遊感のある不思議なヴォーカルを響かせる霧のかかった深い森の中を彷徨うかのような感覚。ジャケットのイメージに合わせるならば、暗闇の中で静かな海の上を進む船のような印象であろうか。ここまでで半分。

5はちょっとデジタルな感じの音を入れてきている。打ち込みサウンドであるが、それがオーケストレイションと完全に調和して存在しているのだ。既にメタルの枠を越えた彼らにとって自らの音楽を進歩させる上で取り込めないものはないのであろうか。いずれにせよ完全にLacrimosaサウンドとして一枚のアルバムの中で多様なサウンドを共生させつつ調和の取れている彼らの才能には脱帽させられるのである。

ピアノの音が独特の郷愁感を強くにじませる6は言葉数の多い歌メロにも耳が引きつけられる。これと対照的なのが次の7である。こちらは電子的なKeyの音色がある種のスピード感をもっており、決して早い曲などではないがテンポや目立つベース音によりアルバム中随一のノリの良い曲となっている。ポップですらあるといえるかもしれない。あくまで彼らの音楽の中ではだが。

で、最後の8はアルバムを閉めるこれまた長い曲。けっこうヘヴィなギターのリフなども入っているし、やっぱりアルバムを通してずっと鳴り響くオーケストラは今の彼らのカラーなんだな。長く辛い旅の終焉を迎えるかのような、過去を振り返りつつ新しい地へと踏み込むかのような、壮大で本当にドラマティックなエピローグ曲である。正直ここまでのアルバムを作ってくるとは思っていなかった。もはやスイスに足を向けて寝るべきではない。

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Best tune : ぜんぶ。

このアルバムから一曲を選ぶと言うことはできない。
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